空より蒼き瑠璃色の |
「ずいぶん熱烈なキスだな」 焦点が合わないほど近くにある男の顔はわからなかったが、声には確実に熱さがあった。 ぼんやりした御剣の口元にこぼれる唾液を、無骨な指が拭い取る。 「涎垂らして寝るかわりに舌入れられるとは思わなかったぜ」 「…かっ……!!」 ようやく自分の状況に気が付いた御剣が、何をしたのかを理解すると同時に、 ざらついた顎が寄せられて、再度唇を塞がれる。 抵抗しなければ、そう思うのも一瞬で、半分は力の抜けた体に、 もう一度力を取り戻すことが出来なかった。 三十日あまりの間、人の肌に飢えていた御剣に、 意識のある状態で受けるくちづけは、あまりに刺激的だったので。 「…ふっ」 息を継ぐ合間にも追いつかれて上唇を甘噛みされる。 離れようと首を振ろうとしても、追いかけてくる舌とうなじを探る指先に気をとられて、 気が付けば一層深く、唇を吸われていた。 成歩堂とは違う――しかしそれ以上に官能的なくちづけ。 腰が痺れて、ぼうっとしてしまうような心地良さ――― ほろ苦いコーヒーの味が舌に広がってくる。 どのくらい時間がたったのかわからない。 気が付くと唇はとうに解放されていて、 御剣はすがりつくようにして神乃木のシャツの袖を掴んでいた。 慌てて手を離すが、体はしっかりと男の腕に抱え込まれたままだ。 「…離してくれないか」 「ん……? あんなに熱いキスしてくれたのに、つれないねぇ」 「あ、あれは…!」 「いきなり抱きつかれたのには、ちょっと驚いたぜ」 |
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