本文サンプル(一部抜粋です) |
「お願いがあるのです、御剣検事さま!」 嫌な予感をひしひしと感じるのは気のせいだと思いたい。 思いたいってば思いたいんだ! 御剣怜侍は自分にそう言い聞かせた。 いい聞かせるしかなかった。 (中略) そういって御剣の体の上にのしかかってくるのは、 倉院流霊媒道の中で、今現在最も大きな霊力を持つ少女、綾里春美だった。 初めて会ったときはまだ子供の手足をしていた彼女も、 御剣が数年の間、諸外国の法律を学ぶために留学している間に、 みるみるうちに子供ではなくなってきていた。 小枝のように細い手足は、すらりとした女らしい曲線を帯びてきたし、 首筋のあたりになんともいえぬ未完成な瑞々しさを感じるようになってきていた。 体の関節のあちこちはすでに子供のものではなくなっており、 もっとも女性を感じさせる胸元は、従姉の真宵をしのぐ勢いで発達してきている。 今はもう綾里千尋の霊媒はしないというが (というかそもそも御剣は、霊媒そのものもあまり信じてはいないのだが)、 それを差し引いても結構なボリュームのあるバストになっていた。 なんとなく彼女の保護者の立場になっている成歩堂と二人で、 そろそろいろいろと危険なので、 その点については注意するべきではないのか…という話をしたこともある。 しかしそれは、「彼女が危険を感じるのではないか」ということなのであって、 「彼女が危険な存在だ」ということなどではなかったはずだ! いや普通そんなこと思わないだろう。 しかし今こうやって、はるかに年若い、 しかもまだ十代前半の少女によって、 三十も近い年齢の自分が、 やすやすと組み伏せられているという現実は、 一体全体どういうことなのだろうか……。 御剣はどうにか自分を拘束している手を離そうとしているのだが、 なぜだか体が全然動かせない。 彼女はそれほど力をいれているようには見えないが、 両手は万力で固定されているかのように、 ぴくりとも動かないのだ。 「お願いを、聞いていただけませんか?」 「……どんなこと、だろうか……」 喉がひりつく。 緊張しているのだろうか。 背中に当たるソファの皮がやけに固く感じる。 おかしい、前に同じようなことに成歩堂とここでなったときには、 そんなことを考えたりはしなかったのだが… いや、そもそもそんなに何度もこんなところに組み伏せられるという体験を するということ自体がおかしい! しかし御剣が感じているのは、まさしく貞操の危機そのものだった。 綾里春美は昔から、それこそ初めて会った時分から、 成歩堂から凄い体力の持ち主であると聞いてはいたが、 御剣はそれを、彼特有の冗談のひとつだとばかり思っていたのだった。 まさかそんなことが実際にあるなんて、普通思わないだろう――普通なら。 「御剣検事さまにしか、頼めないのです」 そういって、御剣に顔を寄せてくる少女の表情は、ひどく真剣だ。 大きな黒目がちの瞳に、自分の間抜けな顔がゆらゆらと映っているのが見える。 それほどまでに近くに接近しているのだということに御剣は気がつき、 次の瞬間にその距離に果てしない危険を感じた。 「そ、それは、私に、特別に頼む、ということ、なのだろうか……?」 「そうなのです。断ったりなさらず、是非、御剣検事さまに、 していただきたいことなのです…検事さまにしか、出来ないので」 きっぱりと春美は言い切った。 そういいながら、彼女は体までもぐいぐいと御剣に押し付けてきた。 少女の幼くも色香の漂う手足、細いけれども鋼のように頑丈な腕。 可愛らしい少女の服に包まれた、たわわな胸のふくらみ。 そしてまだ厚みのないふともも、そして、……そして? 「……は…春美くん」 「はい」 利発な少女ははきはきと御剣の呼びかけに答える。 そのレスポンスの速さが、時にちょっと泣きたくなってくるような気がしてしまう。 自分の記憶に間違いがなければ、自分の上にのしかかっている少女の、 押し付けられている体の、その感触には覚えがある。 それはあまり、というか全然、よい記憶の範疇には入らないものだ。 「それは、その……私の体に当たっている、……ソレに関すること、なのだろうか…」 語尾が消えそうだ。 「…まぁ…! ええと、その、そうなのです…… 御剣検事さまは、どうしてそれがおわかりになられたのですか?」 そういいながら春美は体の上に馬乗りになって、御剣の顔を見下ろした。 ああああ胸があたってる! さすがにこれほどの至近距離で、現役小学生に迫られるというのは、 普通の男性なら、そっちの趣味がたとえないとしても、 かなり刺激的な状況なのではないだろうか、と御剣は思う。 膨らみかかったやわらかい胸と同時に、 馴染みのある固い感触を股間に押し当てられる、 ということでさえなければ。 |
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